Contents
クーガー&デュッセル C
- 【デュッセル】(右)
-
クーガー・・・▼
- 【クーガー】(左)
-
デュッセル殿。▼
- 【デュッセル】
-
大丈夫か?▼
- 【クーガー】
-
・・・俺は見ての通りです。
何も問題はありません。▼
- 【デュッセル】
-
いや、身体のことではない。
お前の、心のことだ。▼
- 【クーガー】
-
・・・・・・▼
- 【デュッセル】
-
わしは自らの強い意志で
グラドを抜けここにいるが、▼
幸い、中心人物となる者たちの中に、
旧知の間柄の人間がいた。▼
心が安らぐという訳ではないが、戦う為に、
今は新たに信じるものがある。▼
だが、お前は・・・▼
- 【クーガー】
-
・・・俺も自分の強い意志でここにいます。
ご心配は無用です。▼
- 【デュッセル】
-
・・・・・・・▼
- 【クーガー】
-
俺は、俺自身を信じています。
だから、どこにいようと問題はありません。▼
例え俺がどこにいて何をしようとも、
兄貴なら・・・きっと分かってくれる。▼
- 【デュッセル】
-
クーガー・・・▼
- 【クーガー】
-
それに、この軍にはデュッセル殿、
あなたがいる。▼
帝国の【黒曜石】とうたわれたあなたと
共に戦える事、悪くありません。▼
- 【デュッセル】
-
うむ。▼
クーガー。この戦、必ず勝利を手にしよう。
我らが信じるものの為に。▼
- 【クーガー】
-
はい。▼
クーガー&デュッセル B
- 【クーガー】(右)
-
デュッセル殿。▼
- 【デュッセル】(左)
-
おお、クーガー。
見事な働きぶりだな。▼
- 【クーガー】
-
いや、
デュッセル殿にはかないません。▼
ところで、前から一つ、
お願いがあったのですが。▼
- 【デュッセル】
-
なんだ? 言ってみるがいい。▼
- 【クーガー】
-
宝のように携帯されているという、
小槍を見せてはもらえないでしょうか?▼
- 【デュッセル】
-
戦場では使わぬというのに、
よく知っておるのだな。▼
・・・それは、この槍のことか?
良ければ、遠慮なく見てくれ。▼
- 【クーガー】
-
こ、これはやはり・・・
名匠・ガヴレウスの・・・▼
- 【デュッセル】
-
ほぉ・・・
若いのにガヴレウスを知っているとは、▼
なかなか武器に精通しておるようだの。
これは、ガヴレウス晩年の作品。▼
数あるわしのコレクションの中でも、
もっとも美しい武器の一つだ。▼
もちろん
実戦にも使えるのだが、▼
わしはこの刃先の輝きを
血で汚したくなくての。▼
この槍を使う時があるとすれば、
それはわしの最期の時だと心に決めている。▼
- 【クーガー】
-
持ち手の心まで
見透かすような輝きだ。▼
確かに、この槍を血で汚すのは
はばかられる。▼
- 【デュッセル】
-
おお、そこまでわかるか?
クーガー、お前は見る目があるようだな。▼
- 【クーガー】
-
恐れ入ります。▼
だが、
それもまたデュッセル殿には及びません。▼
- 【デュッセル】
-
いやいや・・・▼
しかし・・・実はお前の兄にも、
この槍を見せた事があったのだが・・・▼
- 【クーガー】
-
兄貴にも?▼
- 【デュッセル】
-
ああ。▼
やはり兄弟であるな。
同じような事を言っておった。▼
- 【クーガー】
-
そうですか・・・▼
- 【デュッセル】
-
やはり、武人にとって武器は命。
お前も話のわかる男で、わしはうれしいぞ。▼
やがてお前も兄に劣らない
立派な竜騎士となるだろう。▼
クーガー&デュッセル A
- 【デュッセル】(左)
-
クーガー・・・
お前に見せたいものがあるのだ。▼
これだ、この槍。
お前はこの槍をどう思う?▼
- 【クーガー】(右)
-
! ・・・こいつはまた、
背筋が凍るような迫力だ・・・▼
俺にはまだまだ、
これほどの槍は扱えません。▼
- 【デュッセル】
-
うむ、そう思うか。
この槍を持つと、わしも震えが走る。▼
とてもではないが、戦では使えない。
これは人を狂わせてしまう槍だからな。▼
- 【クーガー】
-
・・・人を・・・狂わせる・・・?▼
- 【デュッセル】
-
そうだ、クーガー。
これは我が家に代々伝わる魔性の槍・・・▼
使い手を狂気に走らせると伝えられ、
我が家では当主となった者が肌身離さず、▼
しかし、決して実戦で使う事なく
受け継がれてきたものなのだ。▼
なのに、わしは・・・
大きな過ちを犯してしまった・・・▼
あのヴァルターに、
この槍を使わせてしまったのだ・・・▼
- 【クーガー】
-
ヴァルターに!?▼
- 【デュッセル】
-
うむ・・・▼
・・・ある戦の最中の事だ。
ヴァルターの槍が折れてしまい、▼
わしが目を離した一瞬のあいだに、
奴は無断でこの槍を手にしおったのだ。▼
その瞬間から、奴はおかしくなった・・・
逃げまどう者にまで斬りかかっていったのだ。▼
すぐに気づいて取り上げたものの、
すでにヴァルターの中の狂気が目覚めていた。▼
それからだ・・・奴が血を求め、
戦う事を楽しむようになったのは・・・▼
元々、奴にその気性が無かった訳ではない。
しかし、それを開放し、増大させたのは、▼
まぎれも無い、この槍のせいであったのだ。▼
- 【クーガー】
-
・・・・・・▼
この刃先の異様な輝き・・・
どこかで見た事があると思ったら、▼
・・・ヴァルターだ・・・
戦場でのヴァルターの目の輝きと同じ・・・▼
ヴァルターがこの槍のせいで狂気に・・・
・・・・・・▼
デュッセル殿、良ければこの槍、
俺に預けてもらえないでしょうか?▼
- 【デュッセル】
-
何!? お前が?
し、しかし・・・▼
- 【クーガー】
-
やはり、ヴァルターのように
なってしまうのではないかと、心配ですか?▼
- 【デュッセル】
-
い、いや・・・
・・・・・・▼
- 【クーガー】
-
この槍は、誰かが乗り越えなければならない。
俺にはそんな気がしました。▼
武器とは、心正しき者が扱ってこそ武器。
間違った者が扱えばただの凶器に変わる。▼
俺は決して、
この槍に魅入られたわけじゃありません。▼
ただ、この槍を武器として、
正しく使ってやりたいんです。▼
- 【デュッセル】
-
・・・・・・▼
分かった、クーガー。
これはお前に預けよう。▼
わしには息子がおらぬ。だから、
この槍を受け継ぐ者も決まっていなかった。▼
今、信用できる人間に預けるのが
最も良策であろう。▼
それに、現時点でわしが感服するような
武器を見る目と力が備わっているお前なら、▼
そう遠くない日に
この槍を扱える日がくるかもしれん。▼
この槍の狂気を抑えることができれば、
これほどの名槍は他にないだろう。▼
・・・わしはこれを使う勇気がなかったが、
この槍が正しく使われる姿が見たいのだ。▼
・・・わしはお前に託そう。
いつか、この槍をお前に使ってほしい。▼
- 【クーガー】
-
引き受けました、デュッセル殿。▼
ではこの闘いが片付いた後、
落ち着いた時に預からせてもらう事にします。▼
気が高ぶっている戦闘中に預かると、
ヴァルターの二の舞い、▼
という事も、考えられますからね。▼
- 【デュッセル】
-
うむ、分かった。
クーガー・・・頼んだぞ。▼
その槍が武器として正しく扱われる日を、
楽しみにしている。▼
- 【クーガー】
-
はい。▼
その時まで、
どうか長生きして下さい、デュッセル殿。▼
- 【デュッセル】
-
うむ。▼